思考スキルを「問題解決」に役立てる
何かの問題を解決しようと思ったら、最初に乗り越えなくてはならない壁はおそらく「問題設定」です。なぜなら「本当に解決すべき問題は何か」を早い段階で見極めておかなくてはならないからです。適切な「問題設定」こそが、問題を解決するための最重要プロセスなのです。
問題の本質を見抜くことから始める
問題を解決するためには、まず「本当の問題は何なのか」を把握する必要があります。
つまり「問題の本質」を見極めるという作業です。
多くの場合、問題の本質というのは目に見えるところにわかりやすく転がっているものではありません。大抵の場合目に見えないところでひっそりと、しかし平然と問題を起こし続けているのです。
具体的には、何かのしくみや構造の問題だったり、歪な人間関係や力関係の問題だったりします。そうした見えない問題が根底にあるからこそ、長い間解決されないまま放置されているのです。
問題を解決しようと思ったら、まずこの「目に見えない問題の本質」を見極めるところから始めなくてはなりません。
問題の本質を見抜くための思考法
論点思考
実は「問題の本質」を見抜くためにピッタリな思考法があります。それは「論点思考」です。
論点思考というのは、論点を見定めてから本格的に考えていこうという思考スタイルです。他のことよりも優先して「何を考えるべきか」を考えるところから着手します。
なぜこの思考スタイルが有効かというと、それは多くの人が一度に二つ以上のことを考えられないからです。何かを真剣に考えようと思ったら、結局のところ一つのことしか考えられないのです。
言われてみれば当たり前かも知れませんが、つい「あれもこれも」と考えてしまうのが人の性です。それで意識が散漫になってしまうのです。
そんな気持ちをグッとこらえて腰を据えて考えれば、それまでとは次元の違ったアイデアが湧いてくるかも知れません。
問題解決に絶大な効力を発揮するこうした思考法も、まだ一般的にはあまり知られていないのが実情です。
- 「考えるべきこと(論点)」をきちんと見定めてから考え始めます。
- その論点で「疑問文」をつくり、そこから考え始めるという手順です。
- 最初の論点選びが特に重要です。そこで大きく差がつきます。
- 適切な論点を選んでおかないと、後でボタンの掛け違いのようなことが起こりかねません。
- 論点が適切かどうかは、「考えるに値するか(本質的かどうか)」と「答えが見つかりそうか」で判別します。
- 答えが見つかりそうかどうかを判別する際には、主に仮説思考を用います。
- 「予備知識のあまりない状態で仮説を立てた方が上手くいく」という経験則もあります。
- 実際に問題解決を行うフェーズでは、「分析的思考」などを用いて緻密に論理展開していきます。
アブダクション
「問題の本質」を見抜こうとするときは、まずその問題の「原因」は何なのかを考えてみる、というアプローチも有効です。
その際によく用いられるのがアブダクションという推論方法です。
アブダクションは、起こった現象を既知の法則や一般論に当てはめてみることで、その原因や背景を探ろうとするアプローチです。