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【論理的推論】3つの推論方法を使いこなす

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目に見える事実や与えられた情報をそのまま受け止めるだけで納得のいく人生が送れるなら、あれこれと思い悩む必要はありません。

しかし、世の中はそれほど単純なものでもありません。

目に見えるものの陰に隠れた「背景」や思いもしなかった「関係性」こそが、ときに重大な意味を持ちます。あるいは未来に起こり得るあれこれを予測する必要に迫られるかも知れません。

そんなとき役に立つのが論理的推論です。

論理的推論の種類

論理的推論の種類は主に次の3つです。

  • 帰納法
  • 演繹法
  • アブダクション

帰納法

「帰納法」とは、観察された事実やデータから一般論や法則を導き出す推論方法です。

たとえば「経験則」や「統計データ」にもとづいて結論を導き出すのも「帰納法」に含まれます。

帰納法の手順

事例

事実やデータ観察する。

洞察

傾向や共通点がないか探す。

結論(仮説)

見つけた傾向や共通点から一般的な法則などを導き出す。

演繹法

「演繹法」とは、前提となる法則やルールにものごとを当てはめて結論を導き出す推論方法です。

前提となる一般論から、個別的な事柄に関する結論を導き出せるのが特徴です。

ただし、前提となる法則やルールが間違っていたり、適切でない前提が用いられたりすると誤った結論が導き出されることになるので注意が必要です。

「適切でない前提」というのは、当てはまりの悪いルールや必ずしもそうなるとは限らない法則などを「前提」としてしまうことです。「前提の置き方」による誤りを回避する方法としては、前提そのものを疑うクリティカルシンキングなどが挙げられます。

演繹法の手順

前提(法則やルール)

前提となる法則やルールを確認する。

「AならばB(事象A → 結果B)」という形式。

当てはめ

前提となる法則やルールに、対象となる事柄を当てはめてみる。

「AならばB(事象A → 結果B)」の「A」の部分に当てはめる。

結論(仮説)

当てはまるか否かで結論が決まる。

アブダクション

演繹法がものごとを「AならばB」という法則の「A」の部分に当てはめて結論を導くのに対し、アブダクションは起こった現象を「AならばB」という法則の「B」の部分に当てはめて、その原因や背景を導くという推論方法です。

論理としては、後件肯定と呼ばれる誤りはあるものの、仮説を立てる上で重要な役割を果たしていることに間違いはありません。

後件肯定の例

後件肯定の簡単な例としては、「鳥にはくちばしがある(法則)。この生物にはくちばしがある(現象)。よって、この生物は鳥である(結論)。」という推論があります。

カモノハシの存在によってこの推論は誤りであることがわかります。「鳥にはくちばしがある」という法則自体は、「もし鳥であればくちばしがある」という意味で間違ってはいませんが、「くちばしがあるならばそれは鳥である」とは言っていません。

アブダクションの手順

現象

起こった現象の原因や背景について考え始める。

法則

「起こった現象」を何らかの「法則」に当てはめてみる。

「AならばB(ああなれば → こうなる)」の「B(こうなる」の部分に起こった現象を当てはめてみる。

結論(仮説)

「~に違いない(Aだったに違いない)」という仮説が導かれる。

論理的推論が使われる場面(例)

統計的データの活用

統計やグラフから傾向を読み取って「こんなことが言えるのではないか」と仮説を立てるのも推論の一種です。

この場合、推論方法としては「帰納法」に該当します。

「空・雨・傘」のフレームワーク

「空・雨・傘」のフレームワークは、論理的でわかりやすい文章を書くためのモデルとして活用されています。

「空・雨・傘」の手順は次の通りです。

空:何らかの事実に着目する。

雨:事実を解釈する。

傘:解釈に基づいて解決策を導き出す。

「空・雨・傘」に沿って文章を書くと、次のようなストーリーが思い浮かびます。

西の空から雲行きが怪しくなってきた。これは雨が降るに違いない。だから傘を持って行こう。

このストーリーにおける「空・雨・傘」それぞれについて見てみましょう。

  • 「空」:空を見て「雲行きが怪しくなってきた」という事実の観察です。
  • 「雨」:「西の空に暗雲が垂れ込めるとじきに雨が降る」という法則が一般的に知られています。これは帰納法によって導き出された法則です。「空」で観察された事実がこの法則に当てはまりますので、これから「雨」の降る可能性が高いことが予想されます。これは演繹法によって導き出された結論(解釈)です。
  • 「傘」:それが「傘」を持って出かけるという行動につながります。

このストーリーには帰納法と演繹法という2種類の推論が含まれていることがわかります。

似たような構造の例文で、

朝起きると路面に水たまりができていた。夜間に雨が降っていたに違いない。危ないから自転車で出かけるのはやめておこう。

という場合には、帰納法とアブダクションと演繹法という3種類の推論が使われています。

推理

推理にはアブダクションがよく用いられます。ただし、アブダクションの使い方には注意が必要です。

たとえば、

「家に帰ると2階の窓ガラスが割れていて、室内に野球のボールが転がっていた」

とします。

ここで、

「近所の子供たちが野球をしていて窓ガラスを割ったに違いない」

と早合点してしまうのは危険です。

もしかしたら野球のボールは空き巣犯による偽装で、すでに室内から預金通帳と印鑑が持ち去られているかも知れません。

本来なら銀行からお金をおろされないように一刻も早く通報しなくてはなりませんが、割れた窓ガラスを子供たちのせいだと勝手に解釈し、納得してしまったら犯人の思うつぼです。

そう思い込んでしまったら通報するどころか、預金通帳と印鑑を盗まれたことに気づくのさえいつになるかわかりません。

「論理的推論」を使いこなすには

疑問を持つ

何かに疑問を持つことが、じっくりものを考えるキッカケとなります。ひと目見ただけではわからないことに疑問を持つからこそ、「推論を用いて結論を導き出してみよう」という気持ちになれるのです。

共通点を探す

ものごとの共通点や規則性を探るといった洞察が、帰納法を用いて一般的な「法則」を導き出すための第一歩となります。

原因を考える

問題解決では、解決方法を考える前に「原因」を考えた方が本質にたどり着きやすくなる場合があります。「原因」を考えるときは主にアブダクションを用います。

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ジアタマ教育事業部
当サイトの編集者です。主に教育とその関連分野を担当しています。教育はその人のライフスタイルや仕事と密接に関わってきます。「大人は自分で立てた学習プランで学ぶべき」というのが信条です。世界の共通言語は「数学」と「音楽」だと思っています。
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