知的好奇心と成長のスパイラル
知的好奇心は財産です
知的好奇心は「地頭を支える知的要素」の一つで、あらゆる知的活動の原動力となるものです。
- 知的好奇心
- 論理的思考力
- 直観力
知的好奇心の多くは、「なぜ~なんだろう?」「これって不思議だな」などと疑問に思うことから生まれてきます。もともと興味関心の強い分野であったり、自分の利害に関わるような事柄だったりすると、特に意識しなくてもさまざまな疑問が湧いてきます。
「ふとした疑問」も大切です。心に浮かんだら泡のように消えてしまうので、その前にメモを取るなど記憶に留めておくとよいでしょう。時間のあるときに考えるための材料として持ち歩くこともできます。
特に興味のある分野でなくても、何となく違和感を覚えたり不自然に感じたりすることがあれば、スルーせずに「疑問」として言葉や記憶に残すことを意識してみましょう。
何かにイラっとしたり感動したりといった感情も大切です。すぐれた感性がなければそもそも疑問すら湧いてきませんので、「感情」や「感性」の部分も大切にしましょう。
知的好奇心を持つには「気づき」が大切です。そして、感じたことを言葉にできる「言語化能力」も必要です。
何かに気づくためには、変化や違いを感じ取る鋭い感性が必要となります。そうした感性が一定の言語化プロセスを経て疑問や好奇心に変わり、その後の知的活動を支えてくれるのです。
「疑問」として言語化された気づきは、その後「疑問を解き明かす」という論理的思考プロセスに突入します。ここまでくれば、思考法や分析ツールなどを駆使して合理的な思考を積み重ねることで、一定の結論や仮説を導くことができるでしょう。
ものを考えるという活動から結論を得る上で、何かに気づける感性や知的好奇心は貴重な財産です。
体で言えば「筋肉」と同じように育てたり鍛えたりすることができますので、「目に見えない財産」として大切に育んでいくことをおすすめします。
知的好奇心を高めるポイント
知的好奇心を高めるには、日頃からものごとの共通点や規則性を探すなど「洞察的なものの見方」をしておくことが大切です。
洞察力と知的好奇心の間には相互作用が働きます。
洞察力が高まれば知的好奇心も高まり、知的好奇心が高まれば洞察も鋭くなるのです。
洞察的視点は知的好奇心を高めるだけでなく、論理的思考の起点にもなり得ます。
洞察を働かせて共通点や規則性を探しているうちに、何かを考える「糸口」が見つかり、それが突破口となって「意味のある思考」を展開できるのです。
洞察力を高める方法
感性を磨く
では、洞察力を高めるにはどうすればいいのでしょうか?
まず、「知覚できること」に敏感になるということが挙げられます。
人が知覚できるのは、「違い」「変化」「共通点」「規則性」など「比較」が可能なことです。
そうしたことをきちんと感じ取れるように日頃から感性を研ぎ澄ましておくことが大切です。
抽象化思考を身につける
洞察力は「抽象化思考」によっても高められます。
抽象化思考はものごとをより大まかかつシンプルに捉える思考法で、具体的な事例から「上位概念」や「本質」といったものを抜き出します。
何かの「共通点や法則」を探すという視点も、抽象化思考につながるものです。
知的好奇心と成長のスパイラル
- 洞察力が高まると、「気づき」が多くなり知的好奇心も高まります。
- 知的好奇心が高まると、「考えること」が楽しくなり思考力も高まります。
- 思考力が高まると、「本質」を捉えられるようになり洞察力も高まります。
こうして、「①→②→③→①…」といったループが発生します。
理論上は、①~③のうちどこが起点になってもこのループを発生させることができます。
たとえば、ある日突然感性が鋭くなってものごとの違いや共通点に気づきやすくなれば、「洞察力」が起点となります。あるいは、ある日突然脳が活性化していろんなことに興味を持ち始めれば、「知的好奇心」が起点となります。
しかし、現実として最もループの起点になりやすいのは、③の「思考力」ではないかと思われます。
思考力は「思考法」を学ぶことによって意図的に高められるからです。
たとえば、「抽象化思考」を身につけると「上位概念」とか「背景」といった本質的な視点からものを見ることができ、洞察力が高まります。
そこを起点にループを起こせば、自らの知的活動を意図的な好循環に乗せることも可能です。
私たちは、これを「成長のスパイラル」と呼んでいます。
一度この好循環に乗って成長し始めると、その後は大した苦労もなく、スパイラル的に成長することができるのです。
最初は意図的に発生させたループでも、たとえば洞察力を高めることに成功すれば「意味のあること」を発見しやすくなり、さらなる知的好奇心を呼び起こします。
すると「考えること」がとても楽しくなり、そして考えることによってさまざまな「気づき」が得られます。
そうやって論理的思考と洞察を行き来することで、ものごとをより深く考えられるようになり、より多くの法則や一般論を見つけ出すことができるのです。
知的好奇心を妨げるもの
知的好奇心を妨げる最大の要因は「ストレス」だと思われます。
仕事や社会生活でストレスに晒されると精神的に委縮してしまいます。
同時に脳も不活性化しものごとに対して無関心になっていきます。
これでは、日常の細かいことを観察して、そこから法則を導き出すといったことなどできるはずもありません。
無関心、恐怖、固定観念、ストレス、タブー、… そういったものが知的好奇心を妨げます。
心にタブーをつくってはいけません。
知的好奇心は「自由な精神」にこそ宿るのです。