「地頭(ジアタマ)」とは何か?
そもそも「頭のよさ」って何だろう?
そもそも「頭がいい」ってどういうこと?
一般的な「頭がいい人」のイメージ
- 知識や情報が豊富
- コミュニケーション能力が高い
- 複雑な概念を理解してわかりやすく説明できる
- ものごとの本質を見抜ける
- 問題を速やかに解決できる
- すぐれた判断ができる
- 独創的な発想ができる
- 斬新なアイデアが出せる
世の中で求められる「頭のよさ」とは?
世の中で求められる頭のよさは、会議やプレゼンでカッコよくしゃべったりディベートで相手を打ち負かしたりすることではありません。
そんな表面的なことよりも、問題を解決したり斬新なアイデアを思いついたりといった、もっと「本質的な価値」を生み出せる能力が求められています。
学校の勉強とも違うの?
学校の勉強では、過去のできごとやその分析結果など「過去に生み出された知識や理論」を学ぶための頭のよさが求められます。
それに対し、社会に出てからはアイデアを発想したり戦略を練ったりといった「未来の価値を創造する」ための頭のよさが求められます。そこが一番の違いかも知れません。
日本も成熟社会となり、「過去の踏襲」だけではビジネスが成立しなくなってきました。
つまり、学校の勉強のように「過去のこと」ばかりを学んでいても社会に出てから自分で稼ぐことが難しくなってきたのです。
就職しどこかの組織に属しても以前のように終身雇用が保証されている訳ではありません。
社会に出てから困らないためには、「未来の価値を創造する」ようなビジネスを自分で創り出す必要があると言えるでしょう。
そこで求められるのが「地頭(ジアタマ)」です。
「地頭がいい」ってどういうこと?
地頭のよさとは?
「あの人は地頭がいい」なんてよく聞くけど、実際どんな意味で使われているの?
「頭がいい」と言うと、すぐに学校の成績や学歴のことばかりを思い浮かべがちですが、「地頭がいい」というのは、それとはニュアンスの異なる頭のよさです。
「地頭のよさ」というのは、知識や情報に基づく頭のよさというよりも、問題解決や価値創造といった知的作業に必要な能力で、人間の「考える力」に着目した頭のよさのことを言います。
「考える力」は知識力や情報力とは別物であるため、そこを区別するために「地頭」という表現を用いているのかも知れません。
また、地頭は知能指数(IQ)とも異なります。
知能指数(IQ)は、出題されたテストの結果から導き出される評価指標ですが、地頭は結果だけでなく「問題を見つける」といった思考プロセスまでを含めて判断されます。
地頭と言うと「生まれつきの頭のよさ」というイメージが強いけど、仕事や生活に役立つ「知恵」を生み出す能力のことなんだね。
地頭がいい人の特徴とは?
- 話が論理的でがわかりやすい
-
- 話の目的や論点がしっかり示されるため、話が総じてわかりやすい。
- 聞き手に寄り添った比喩表現など相手に合わせた説明ができる。
- 洞察力があり、ものごとの違いや共通点に気づきやすい
-
- 洞察力があり、ちょっとしたことにもすぐ気づける。
- ものごとの違いや共通点に気づけるので、そこから論理を展開して問題解決や将来予測に役立てられる。
- 察しがいい ものごとの「全体像」を把握するのが得意
-
- 察しがいい。断片的な情報からでも全体像を把握したり将来像を予測したりできる。
- マクロ的な視点で仮説を立てたり、全体の雰囲気を掴んだりするのが得意。
- 「本質」にたどりつきやすい
-
- 少ない情報からでも本質的な結論を導き出すことができる。
- 質問が的確。本質を見つけてしっくりくるまであまり納得しない。
- 本質を把握できれば、「一を聞いて十を知る」といったことも可能に。
- 詭弁や矛盾に気づきやすい
-
- 前提条件のおかしな推論など、人のおかしな主張を見分ける能力がある。
- おかしな主張を聞くと、遠慮なく批判することもしばしば。
- アイデア・発想力が豊か
-
- いろんなものを組み合わせて考えたり、既存のものを新しい分野に活かしたり、といった発想ができる。
地頭を支える3つの知的要素とは
地頭というのは、思考力や発想力の土台となる頭のよさのことですが、概ね次の3つの知的要素に支えられています。
- 知的好奇心
- 論理的思考力
- 直観力
①知的好奇心
知的好奇心は、あらゆる知的活動の原動力となるものです。地頭をよくするには、この知的好奇心を日頃から一段高めておく必要があります。そうすることで、ものごとを洞察する目が鋭くなり気づきも多くなるはずです。
②論理的思考力
論理的思考は、事例や根拠などの断片的な情報に基づいて論理を展開し、その「つながり」や「関係性」を示すことで結論を導き出すというものです。論理的思考力を身につけることで人にわかりやすく説明することができ、ビジネスシーンにおける説得力も増します。
③直観力
直観力は右脳的な思考力とも言えます。論理的思考は限られた情報から推論によって一般化された理論を導き出す作業に向いていますが、その前段階における「洞察や発見」「全体像の把握」「アイデア出し」などには右脳的な思考力が求められます。
なぜいま地頭が注目されるのか?
- ビジネスの現場で「地頭のよさ」が求められる傾向にあるから
- AIの普及により「人が担う領域」に変化が生じ始めているから
- 地頭をよくすることで「普遍的な能力」の向上が見込めるから
ビジネスの現場で「地頭のよさ」が求められる傾向にあるから
地頭は、「考えること」の土台となる頭のよさですが、ビジネスシーンでは特に「問題解決」や「価値創造」に役立つ能力として注目されています。
AIの普及により「人が担う領域」に変化が生じ始めているから
AIの普及にともない、一部の知的分野においては人の手を離れてAIに委ねられる未来が予想され、人間とAIの役割分担や人間が担うべき領域の行方について注目があつまっています。
地頭をよくすることで「普遍的な能力」の向上が見込めるから
地頭のよさは「普遍的な能力」の向上につながります。「考える」という作業があらゆる知的活動とつながっているからです。先の見えない時代を生き抜くのに地頭のよさが必要だと考える人は決して少なくないはずです。
地頭を使って何ができるの?
地頭がいいと、具体的にどんなことに役立つの?
問題解決
地頭がいいと洞察力が鋭くなり、ちょっとしたことにもすぐ気づけるようになります。
たとえば、起こっている現象の規則性や共通点に気づくことで、問題解決の糸口を探り当てることも可能です。
また、少ない情報から「ものごとの本質」に迫れるようになります。
問題解決のポイントは「真の問題に気づくこと」ですので、本質を見極める作業は避けて通れません。
問題が発覚した時点では、まだ「真の問題は何か」がわかっていないケースも多いので、表面に惑わされて本質が見えないと「解いても仕方のない問題」を解く破目になります。
そうならないためには、ものごとの本質を見抜くだけの「地頭のよさ」が必要なのです。
価値創造
価値創造というのは、新商品の開発やビジネスモデルの創出など、顧客への提供価値に関わるものを想定しています。
地頭のよさを発揮して鋭い洞察力や発想力を身につければ、いろんな切り口から顧客への提供価値を生み出すことができます。
既存のものの組み合わせから新商品のアイデアを見つけたり、顧客の抱える悩みや問題を解決して新ビジネスを展開したり、といったことが可能になります。
戦略的思考
地頭のよさは「察しのよさ」につながり、大まかな仮説からものごとの全体像(構造)を見極めることを可能にします。
複数の要素をまとめながら「一体化された全体戦略」をつくり出す戦略的思考において、察しのよさは特に重要です。
実務では事業計画やマーケティング戦略に反映させるなど、自らの「仕事の価値」を高めることも可能になるでしょう。
もちろん、商品開発やビジネスモデルの創出といったビジネスアイデアにもつながります。
分析的思考
数値やデータを用いる「分析的思考」には、数学的思考力が求められます。
人間が知覚できることを最大限にクローズアップして、ものごとを比較検証しやすいように整理していきます。
抽象化思考を組み合わせることで複雑な対象もシンプルに捉えられるので、経営分析や業界分析にも応用できます。
統計データなどからそれまで見えてこなかった傾向や法則を読み取り、将来予測に役立てることも可能です。
コミュニケーション
地頭のよさはコミュニケーション能力にも関係します。
自らの考えを他人にわかりやすく説明できる能力は、文章力やトーク力の向上につながり、集客やプレゼンにも役立ちます。
営業の現場では、自社の商品やサービスの説明だけでなく、顧客の問題解決に焦点を当てたソリューション営業が可能になるでしょう。
地頭のよさは、「仕事の価値」を高めることにつながるんだね!
地頭は鍛えられるのか?
多くの人は、地頭のよさを「生まれつきの資質」だと思っているかも知れません。しかし実際は、生まれつきだけで決まるものではありません。
それ以上に「頭の使い方」がものを言います。そして、それは経験や学習によって後天的に鍛えることができるのです。
まとめ
- 地頭は「考える力」がメインであり、知識や学力とは一線を画します。
- 地頭を支える主な要素は、知的好奇心、論理的思考力、直観力の3つです。
- 地頭は「生まれつきの頭のよさ」だけでなく経験や学習によっても鍛えられます。